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COLUMNSブログ「論語と算盤」

電子部品業界-5

2022年4月11日

電子部品業界の5回目です。

 

今回は、「資金力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、手元資金推移手元流動性比率

手元資金有利子負債カバー率総資本営業CF比率

売上高営業CF比率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

手元資金推移

〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕

 

 

直前期では、3,800億円台に3社が位置しています

 

 京セラトップですが、2期連続で減少傾向にあります。

 

 村田製作所2018決算期に4位でしたが、

高い伸び率で3期連続増大させています。

 

 TDK3期連続の増大となっています。

 

 日本電産3社に比べると少なくなっており、

2,000億円台での推移となっています。

 

 

手元流動性比率

〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕

 

 

先ほどの上位3社が、自社日商の約90日前後の手元資金を有しています。

 

 TDKは、2期連続の増加となりました。

 

 京セラは、2期連続で減少しています。

2年前は高いレベルであり、持ちすぎの感もあったかもしれませんが、そのおかげでコロナ禍の売上減少という直近2期間に対応できた側面もあるでしょう。

そして今後はまた、維持・増大が求められるかもしれません。

 

 村田製作所は、直近2期間の伸び率が非常に高くなっています。

コロナ禍における資金確保策が奏功しているのかもしれません。

 

 日本電産は、50日前後というレベルです。

この値に基準値などないのですが、製造業としては60日程度あれば一応安心なレベルかと思われます。

コロナ禍において、50日前後ということは、かなり絞り込んでいる感もあります。

特に2020決算期の減少は、比較的大きめの投資が影響しているようです。

 

 

手元資金有利子負債カバー率

〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕

 

 

(京セラと村田製作所の3・4年前はグラフに収めていません。)

 

 京セラは、上述のように手元資金が大きい上に、有利子負債がかなり少額です。

2020決算期では、有利子負債が前期の8倍以上に増えましたが、それでもこの値は、直近で400%程度とかなりの高レベルです。

 

 村田製作所2019決算期に有利子負債を前年比で9倍近くにまで増やしています

直近では、手元資金の拡大と有利子負債の返済により再度上昇しています。

 

 TDKは、2020決算期で有利子負債の返済を進めています。

また、手元資金も拡大させています。

 

 日本電産は、2020決算期の投資に伴う有利子負債の増大で、値が低下しました。

ただし直前期では、手元資金を増やし返済を進めたため、反転しています。

 

 

総資本営業CF比率

〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕

 

 

 村田製作所直前期で15%超とトップです。

ただし直前期は、営業CFの伸び率が20192020決算期との比較でやや鈍化したため、総資本の伸び率を下回っています。

 

 日本電産2番手です。

直前期は、営業CFの伸び率が前期より30.4%伸びています。

 

 続いて、TDKです。

2期連続で伸長させたのち、直前期で低下しました。

直前期は、営業CFが前年とほぼ同額であったのに対し、総資本は前年よりも23.6%増大しています。

 

 京セラは、2期連続で微減となりました。

総資本は、20202021決算期ともに7%以上伸長している中、営業CF2020決算期に2.5%ダウン、2021決算期は2.9%アップという状況です。

 

 

売上高営業CF比率

〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕

 

 

4社のグラフの形状は、総資本営業CF比率と似た形になっています。

 

 トップはやはり村田製作所で、3期連続の伸長、直近では22.9%となっています

 

 2番手がTDK15.1%、続いて京セラ14.5%、最後に日本電産13.5%となっておりこの3社は近接しています

 

 

今回、特に気になったのは、京セラ資金力強さです。

ただし、直近2期間はそれほど芳しくなく、それもまた気になります。

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「投資力」を見ていきましょう。

 

 

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