精密機械業界の3回目です。
今回は、「稼ぐ力」の分析です。
取り上げる指標は、EBITDA、EBITDAマージン、ROEとなります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【EBITDA】
〔EBITDA=営業利益+償却費〕
最大はHOYAであり、継続して拡大しています。
ただ、償却費が少ない点がやや気がかりです。
現在事業の収益は極めて良好に映るのですが、未来を見据えた投資支出があまり行われていないのではないかという懸念です。
表に示したように、EBITDA中に占める減価償却費・償却費の割合は20%を切っており、比率的にも、そして金額的にも4社中で最低です。
続いてテルモです。
直前期で少々低下しました。
償却費は増えましたが、営業利益額そのものが減少したせいです。
オリンパスも、直前期で低下しました。
営業利益、償却費、ともに減少しています。
ニプロは、2期連続で拡大しています。
金額的には4社中最少ですが、EBITDA中の償却費の比率は60%超と抜きん出ています。
この投資が将来花を咲かせられれば、中期経営計画に掲げた主要KPIのひとつである、「2030年度に売上高1兆円のグループ企業へ」の実現性が高まるでしょう。
【EBITDAマージン】
〔EBITDAマージン=EBITDA÷売上高〕
HOYAが最大であり、3期連続で上昇させています。
前回見たように、売上高対比の各種利益率では抜きん出た存在と言えます。
テルモが2番手です。
ただし、直前期では低下し、24%台になりました。
オリンパスも直前期で下げました。
ニプロはほぼ横ばいで、直前期の値は前年と同等です。
【ROE】
〔ROE=親会社株主に帰属する当期純利益
÷{純資産-(新株予約権+非支配株主持分)}〕
ここでもHOYAがトップです。
日本の株式市場では、8%や10%というレベルが望ましいと言われますが、そんな中20%に迫る水準というのは、海外投資家にとっても魅力的に映るでしょう。
テルモは、残念ながら3期連続で低下しています。
2020.03期には最終利益を増加させましたが、分母の株主資本も膨らみました。
オリンパスは、上下動が激しくなっています。
計算式の分子と分母ともに、増減の変動が見られます。
ニプロは、2020.03期を除けば7~8%で安定しています。
2020.03期は、経常利益234億円を大きく凌駕する384億円の特別損失を計上したことにより、最終利益が赤字になりました。
この特別損失は、投資有価証券の評価損と減損損失が中心であり、ウミを出したイメージです。
今回、特に気になったのは、前回に引き続きHOYAです。
前回見た利益率の高さに加え、稼ぐ力も秀逸です。
また、ニプロも気になります。
積極的な動きが察せられ、今後の推移が気になります。
今回は以上です。
次回は、「資本活用力」を見ていきましょう。
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