オフィス家具業界の2回目です。
今回は、売上高利益率からみる収益性、「利益創出力」の分析です。
取り上げる指標は、総資本経常利益率、売上高総利益率売上、
売上高営業利益率、売上高当期純利益率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【総資本経常利益率】
〔総資本経常利益率=経常利益÷総資本(負債+純資産)〕
コクヨは、2期連続で低下しています。
総資本は3期連続で微増した一方、経常利益が2期連続で減少しました。
内田洋行には、勢いが感じられます。
前回見たように、売上高と営業利益の伸び率が高く、この指標も急上昇しています。
総資本の伸び率は高いのですが(前回の総資産推移を参照)、
経常利益の伸び率は前回見た営業利益とほぼ同レベルであり、
総資本の伸び率を大きく超えています。
オカムラは、6%台で安定しています。
総資本、経常利益ともに、2期連続で伸長しています。
イトーキは、直前期で上昇しましたが、
4社の中ではやや見劣りするレベルです。
総資本の変化は大きくありません。
経常利益は、2年前に大きく低下し、
直前期では増加したものの、3,4年前の額には至っていないという状況です。
【売上高総利益率】
〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕
コクヨは、35%半ばで安定的に推移しています。
売上高の変動も大きくはなく、売上原価はそれに準じた変動となっています。
内田洋行は、3期連続で低下しています。
ここまでの業績と相反するような姿が垣間見られます。
売上高の伸び率は、108.5%⇒121.9%⇒145.3%、
売上原価の伸び率は、109.3%⇒124.7%⇒153.8%という推移です。
売上高を上回る原価の伸び率となっており、この点は少々気がかりです。
オカムラは、徐々に粗利益率を上昇させています。
コクヨと同様に、売上高の変動と同じレベルで売上原価も変動していますが、
その中でも上昇させているという点に企業努力が感じられます。
イトーキは、4社中で最高の粗利益率です。
2期連続で低下した後、直前期で高めました。
低下した2期は、売上高が上昇する反面、売上原価はそれより高い伸び率でした。
伸長した直前期は、売上高は下がったものの、
売上原価はその低下率以上に下げられています。
【売上高営業利益率】
〔売上高営業利益率=営業利益÷売上高〕
コクヨは、2期連続で低下しています。
粗利益率が一定である中、営業利益率が低下するということは、
販売費及び一般管理費が膨らんでいるということになります。
そこで販管費を見ると、2期連続で増加した後、直前期で低下しています。
直前期は、粗利益率が高まりましたが、
売上高が低下したため、粗利益の額としては縮小しました。
その結果、販管費のカバー割合が低下し、
営業利益率が下がったという構造になっています。
内田洋行は上昇していますが、直前期では横ばいとなっています。
直前期は、前回確認したように売上高の伸長率が驚異的です。
ただし、その伸長率を凌駕する売上原価の増大があったため、
先ほどの粗利益率が相当落ち込だわけです。
それでも粗利益の額自体は増加しており、販管費も増加したものの、
営業利益額自体が増加したため、営業利益率は前年並みとなったという構図です。
オカムラは、2期連続で上昇させており、4社中トップの比率です。
売上高は直前期で減少したものの、営業利益額は増大させています。
売上高の低下に伴って粗利益額が低下したものの、販管費も削減しています。
ちなみに、販管費中の「給料及び手当」は、従業員数の増加以上に増えています。
そんな中、販管費を削減して営業利益率を高めたという結果は、
マネジメント力の強さと言えるかもしれません。
イトーキは、粗利益率と同様、直前期に上昇させました。
ただし、粗利益率が4社中トップであることに対して、
営業利益率では最下位の水準です。
粗利益率は良いものの、その絶対額は大きくなく、
販管費を賄った残り(営業利益)が少額だということです。
ただし、直前期の販管費は削減されており、今後の挽回も期待できそうです。
【売上高当期純利益率】
〔売上高当期純利益率=親会社の所有者に帰属する当期利益÷売上高〕
コクヨの直前期は、先ほどの営業利益率が下がった上に、
特別損失(減損損失中心)が膨らみました。
そのため、純利益率が大きく低下しました。
内田洋行は、約0.3ポイントずつ上昇させ続けています。
直前期の営業利益は横ばいでしたが、前年より特別損失が少なかったため、
この純利益率が高まっています。
オカムラは、直前期で4社中トップとなりました。
営業利益、経常利益ともに大きくはありませんが増大させており、
特に直前期では特別利益(投資有価証券売却益中心)も増したため、
大きく上昇しています。
今回の比率分析では、全ての指標で直前期に上昇しています。
イトーキも今回の4指標について、直前期では全て上昇しています。
ただし、この当期純利益率がマイナス、つまり最終赤字になった点が残念です。
特別損失が膨らみましたが、減損損失や開業費償却などがあり、
ウミを吐き出したというイメージもあります。
今後に期待できるかもしれません。
今回は以上です。
次回は、「稼ぐ力」を見ていきましょう。
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