Loading

COLUMNSブログ「論語と算盤」

オフィス家具業界-2

2022年1月27日

オフィス家具業界の2回目です。

 

今回は、売上高利益率からみる収益性、「利益創出力」の分析です。

 

取り上げる指標は、総資本経常利益率売上高総利益率売上

売上高営業利益率売上高当期純利益率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

総資本経常利益率

〔総資本経常利益率=経常利益÷総資本(負債+純資産)〕

 

 

 コクヨは、2期連続で低下しています。

総資本は3期連続で微増した一方、経常利益が2期連続で減少しました。

 

 内田洋行には、勢いが感じられます。

前回見たように、売上高と営業利益の伸び率が高く、この指標も急上昇しています。

総資本の伸び率は高いのですが(前回の総資産推移を参照)、

経常利益の伸び率は前回見た営業利益とほぼ同レベルであり、

総資本の伸び率を大きく超えています。

 

 オカムラは、6%台で安定しています。

総資本、経常利益ともに、2期連続で伸長しています。

 

 イトーキは、直前期で上昇しましたが、

4社の中ではやや見劣りするレベルです。

総資本の変化は大きくありません。

経常利益は、2年前に大きく低下し、

直前期では増加したものの、34年前の額には至っていないという状況です。

 

 

 売上高総利益率

〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕

 

 

 コクヨは、35%半ばで安定的に推移しています。

売上高の変動も大きくはなく、売上原価はそれに準じた変動となっています。

 

 内田洋行は、3期連続で低下しています。

ここまでの業績と相反するような姿が垣間見られます。

売上高の伸び率は、108.5%121.9%145.3%

売上原価の伸び率は、109.3%124.7%153.8%という推移です。

売上高を上回る原価の伸び率となっており、この点は少々気がかりです。

 

 オカムラは、徐々に粗利益率を上昇させています

コクヨと同様に、売上高の変動と同じレベルで売上原価も変動していますが、

その中でも上昇させているという点に企業努力が感じられます。

 

 イトーキは、4社中で最高の粗利益率です。

2期連続で低下した後、直前期で高めました。

低下した2期は、売上高が上昇する反面、売上原価はそれより高い伸び率でした。

伸長した直前期は、売上高は下がったものの、

売上原価はその低下率以上に下げられています

 

 

売上高営業利益率

〔売上高営業利益率=営業利益÷売上高〕

 

 

 コクヨは、2期連続で低下しています。

粗利益率が一定である中、営業利益率が低下するということは、

販売費及び一般管理費が膨らんでいるということになります。

そこで販管費を見ると、2期連続で増加した後、直前期で低下しています。

直前期は、粗利益率が高まりましたが、

売上高が低下したため、粗利益の額としては縮小しました。

その結果、販管費のカバー割合が低下し、

営業利益率が下がったという構造になっています。

 

 内田洋行上昇していますが、直前期では横ばいとなっています。

直前期は、前回確認したように売上高の伸長率が驚異的です。

ただし、その伸長率を凌駕する売上原価の増大があったため、

先ほどの粗利益率が相当落ち込だわけです。

それでも粗利益の額自体は増加しており、販管費も増加したものの、

営業利益額自体が増加したため、営業利益率は前年並みとなったという構図です。

 

 オカムラは、2期連続で上昇させており、4社中トップの比率です。

売上高は直前期で減少したものの、営業利益額は増大させています。

売上高の低下に伴って粗利益額が低下したものの、販管費も削減しています。

ちなみに、販管費中の「給料及び手当」は、従業員数の増加以上に増えています

そんな中、販管費を削減して営業利益率を高めたという結果は、

マネジメント力の強さと言えるかもしれません。

 

 イトーキは、粗利益率と同様、直前期に上昇させました。

ただし、粗利益率が4社中トップであることに対して、

営業利益率では最下位の水準です。

粗利益率は良いものの、その絶対額は大きくなく

販管費を賄った残り(営業利益)が少額だということです。

ただし、直前期の販管費は削減されており、今後の挽回も期待できそうです。

 

 

売上高当期純利益率

〔売上高当期純利益率=親会社の所有者に帰属する当期利益÷売上高〕

 

 

 コクヨ直前期は、先ほどの営業利益率が下がった上に

特別損失(減損損失中心)が膨らみました

そのため、純利益率が大きく低下しました。

 

 内田洋行は、約0.3ポイントずつ上昇させ続けています

直前期の営業利益は横ばいでしたが、前年より特別損失が少なかったため、

この純利益率が高まっています。

 

 オカムラは、直前期で4社中トップとなりました。

営業利益、経常利益ともに大きくはありませんが増大させており、

特に直前期では特別利益(投資有価証券売却益中心)も増したため、

大きく上昇しています。

今回の比率分析では、全ての指標で直前期に上昇しています。

 

 イトーキも今回の4指標について、直前期では全て上昇しています。

ただし、この当期純利益率がマイナス、つまり最終赤字になった点が残念です。

特別損失が膨らみましたが、減損損失や開業費償却などがあり、

ウミを吐き出したというイメージもあります。

今後に期待できるかもしれません。

 

 

今回は以上です。

次回は、「稼ぐ力」を見ていきましょう。

 

 

※当サイトの「注意・免責事項」ご確認ください。